【LUXMAN】5M21 DCオフセット点灯 解決編【5回目】

2021/08/29

5M21 AB級 LUXMAN アンプ

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 どうも!
ワクチンの副反応もすっかり収まり元気にやっとりますtakaです。

さてさて、前回、5M21の出力信号歪によってDCオフセットランプが点灯していた件ですが、
解決しましたので報告します。

今回は下記を紹介させていただき、一旦最終回となります。
(また私がやらかしていなければこれで完了のはず・・・)

・信号歪の解決
・パイロットラップの修理
・メータパネルの清掃

それでは行ってみよ~!

症状はこんな感じで出力が異常に歪む状態

Facebookの偉大なる先輩方から
”左右同じ現象なら初段の電源が怪しいのでは?”
とアドバイスいただきました。

 私も最初はそう思ったのですが左右独立電源で同じ症状なら電源ではなさそう・・・
と考えていました。その時ふと回路図に目をやると・・・

”終段は左右独立電源だけども、初段は左右共通電源”
('Д')....
いや、だって、

この感じは完全左右独立だと思うじゃん!!!
(言い訳)

改めてよく見てみると・・・
片方のトランスの出力が1セットだけターミネートされていました。
反対側のトランスのこの出力が初段の電源です。
だまされた~~~~~~
(ただの私の早とちり)

ささ、気を取り直して、初段の電源をチェックしてみましょう!
負側は-70[V]ほど。
正側は8[V]?

いくらであればOKなのかわかりませんが正側がかなり低い・・・
理論値を確かめるために回路図を眺めてみます。


超シンプルなシリーズレギュレータですね!

まさか直流的に帰還がかかっていないとは・・・かなり意外です。
話がそれましたが、ベース接地ですので理論値はベース電位-Vbeくらいです。
ベース電位を生成しているツェナーはVz=68[V]ですので、理論値は大体67.4[V]です。
つまり正側は明らかに低すぎですし、負側もちょっと負方向へ大きいですねぇ。

電源基板はこの隙間です・・・

基板にアクセスしたいのですがその方法がわかりません・・・
以下の方法は多分間違っています。これが正しいアクセス方法であればかなりメンテナンス性が悪いので・・・

正しい方法が分からないので力技で行きます。まず基板に接続されている配線を全て外し・・

そしてネジを4本外し・・・

パターン面がトランスのケースに触れてしまわないようキムタオルを敷いて・・

外せました!
どうせトランジスタだろうと思っていたのですが、一目で分かりました・・・

抵抗が割れている・・・?

正負とも取り外してみました。

正側は断線していました。

その他の素子も念のためチェックしてみましたが結局破損していたのはこの抵抗(R403)だけでした!
コレクタにシリーズで挿入される抵抗です。あまり見かけないので目的はわかりませんが、R403があると、出力電流が増加するにつれてQ401のベース電位が下がるため、予想するに、初段の異常負荷に対する保護回路の役目を担っていると思います。
たった1本の抵抗でも奥が深いですねぇ。

なぜ抵抗が焼けているのか予想するためオーナー様に確認したところそれほど無茶な使用はしていないとのことなのでそもそもの設計がよくないのかもしれません。
基板を洗浄するため邪魔な素子を全て取り外しました。

交換する素子です。

破損していた1[W]/150[Ω]を耐久性向上のために酸化金属皮膜抵抗の2[W]品へ交換します。

さらに浮かせて配置させてやります。これで多少放熱性がよくなるのではないでしょうか。

組み立てる前に消費電力を測定しておけばよかったと後悔・・・
キャパシタも全て交換します!
本当は105[℃]品がほしかったのですがこれまたお店に置いていなかったので85[℃]品です。
また、C405とC406は100[V]が指定されていますが160[V]品を購入しました。約90[V]が印加される場所に100[V]定格はちと余裕がないと思いますので。
また、チューブラが手に入らなかったので縦型を使用します。

横に倒して使用するので足を延長します。自作ラッピングツールがここでも活躍!(初登場はこちら

基板に乗っけてみましたが配線がセンスなさ過ぎ・・・orz

納得いかなかったので配線をやり直しました!

基準電位を生成するこのツェナーも念のため交換しておきます。

68[V]のツェナーはもう手に入らないので20[V]と47[V]のツェナーで生成します。
ちなみにこの1WツェナーはAmazonで購入しました。かなり種類が豊富なセットで重宝しております。(リンクはこちら

1N4007も手持ちがあったので交換しておきます。

修理が完了した電源基板

さて電源の動作チェックはどうでしょうか!


問題ありませんね!67-Vbeくらいになるはずが若干高いのはツェナーの誤差です。
これで電源はOKです!
信号歪はこれで解決したのでしょうか!?


やりました!
フルスイングです!
後はパイロットランプとメータパネルの清掃で完了です!


電球にこだわりたかったのですがホームセンターにはなく、わざわざネットで買うのも・・・
だったので白色LEDにしました。オレンジLEDでは色が濃すぎてこのアンプには合いません。それにパネルにはnormal(white)と印字がありますのでw 本来は電球色なので決してwhiteではないのですが50年前は電球色は白扱いだったのかもしれませんね。

パイロットランプはここの+14Vと、

ここを外せばOKです。
因みに、パイロットランプは電源投入直後から数秒間の暖気中は点滅し、リレーが外れると同時に点灯に変わります。点滅はマルチバイブレータ回路で実現していました。2枚目の写真はマルチバイブレータの乗る基板です。

取り外せました。

点灯するとこの色です。若干ピンクっぽいですね。

いよいよ最後の仕上げです。ずっと気になっていたメータパネルの汚れ!
どうも両面テープか接着剤のようです。

たったこれだけですけど結構目立つんです。

フロントパネルをバラバラにして全て洗浄しました。綺麗になりました!

あとはフロントパネル裏と本体上部のウレタンスポンジを交換し、DCオフセット・アイドリング・メータ校正を行い完了です!
パネル裏のスポンジ。多分パイロットランプの明かりがメータ側に漏れないようにするためだと思います。

隙間スポンジ(ウレタン)をペタ

本体上部のスポンジも張り替えます。

ペタ

以上で修理完了です!(多分)
今回の反省点

”最大負荷で最終試験すべし”

人様のアンプだからと小信号で試験しておりましたが人様のアンプだからこそ試験に抜け漏れがあってはいけませんね。


長くなりましたがお付き合いいただきありがとうございました!

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モノ作りが好きです。GUIアプリの作成からアナログ回路まで手当たり次第です。 アンプの修理を紹介するためにブログを始めました。 (Twitter:@TakaElc)

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