【Pioneer】M-22 2台目 初段とドライバ段の動作確認、基板洗浄、リレー洗浄【7回目】

2021/05/04

A級 M-22 Pioneer アンプ

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前回で初段電源回路の動作確認を完了したのでいよいよ初段とドライバ段の動作確認に入ります。初段1段目はめちゃくちゃ勉強になりました。

終段はただのPPなのでこの初段さえ問題なければとんとん拍子です。多分。

それでは行ってみよ~!

まずは初段の回路図から。
※パターンを追いかけて作成しています。間違いがあるかもしれません。



構成は差動2段構成ですね。1段目はデュアルBPTによる差動、2段目はカレントミラー+差動の構成です。

前回と同様、各所の電位を求め実測値と比較し問題がないか確認します。

まずは差動1段目。一見するとQ2を定電流源とした差動増幅に見えるのですが・・・
Q2はただのスイッチです。プロテクタ回路から来るトリガ(+B2(Protected))でON/OFFされるスイッチでデフォルトONです。これを定電流源だと思い込み丸一日頭を抱えました・・・

こんなところにプロテクタが挿入されているなんで驚きです!意味合いとしてはプロテクト(DCとオーバーヒートのOR取り)を検知すると電流値を下げ差動動作を停止する役割があると思われます。言葉で説明してもあれなので下記回路図をご覧ください。


+B2(Protected)がOFFの場合の等価回路は左、ONなら右です。R11の有無が違いです。これによって動作的にはどうなるのかというのは各所の電圧を考えるとわかりそうです。

何はともあれベース電位をハッキリさせなければなりません。ベース電位を決める回路を示します。(DC成分だけを考えます)


VR1はDCオフセット調整用です。かみ砕くとNFB(を分圧した電位)とVR1で決定される電位との差を増幅するのが目的の回路ですね。

ベースに流れ込む電流が小さいと考えるとベース電位はVR1の電位で決まります。VR1の電位幅はD4とD5で制限されています。これを踏まえると下記図のレベルまで簡略化されます。



後はもう簡単ですね。ベース電位の範囲は
\begin{align}V_b=-V_{D5}+\frac{R_1+R_5}{R_1+R_4+R_5}(V_{D4}+V_{D5})\end{align}
となります。
VD5=VD4=0.65[V]とすると5.80[mV]~-109[mV]の範囲であることがわかりました。

さて実測値はどの程度でしょうか。


4.4~-104[mV]ということで計算値と近いためOKでしょう。抵抗値の誤差とベース電流を考慮すれば理論値も実測値に近くなります。

後は簡単です。R10の電圧降下分はVb+Vbeになりますしその電流(=エミッタ電流)は(Vb+Vbe)/R10になります。ここで先述のプロテクタがONになった場合は(Vb+Vbe)/(R10+R11)となり大幅にエミッタ電流が1/10近く減少することがわかります。

また、コレクタ電流はほぼエミッタ電流に等しいのでコレクタ電位は-B2+Vd7+R12*((Vb+Vbe)/R10)/2となります。

差動2段目は1段目のコレクタ電位が定まりましたのでQ3のエミッタ電位が定まります(Vb-Vbe)。これとR17よりQ3のエミッタ電流が定まります((R17/(Vb-Vbe))/2)。Q3のエミッタ電流はQ3のコレクタ電流(=Q4のコレクタ電流)とほぼ等しいため、Q5のエミッタ電流も等しくなります。するとR19からQ5のエミッタ電位が定まり、同時にQ5のベース電位も定まります(Ve-Vbe)。コレクタ電位はベース電位と等しいです。

VR2は終段のバイアス調整用です。こちらも電圧範囲を求めます。Q4のコレクタ電流はすでに定まっておりますので、D8,D9,VR2の電圧降下を求めればOKです。D8(STV-4H)の順方向電圧はデータシートより2.2[V]です。D9の順方向電圧を0.65とすると電圧範囲は2.85~3.85[V]になります。

さて、実測してみましょう。その前に・・・
取り外していたD8(STV-4H)を再実装し足が折れないようビニールテープで仮止めします。
折れてしまうとこんなみすぼらしい修理が必要になります。


理論値2.85~3.85[V]に対して2.9~3.8[V]でした。問題ありませんね!

次にドライバ段のチェックです。下記図がドライバ段+終段です。


ドライバ段はQ7とQ8のPPです。LHーLO間電圧は2.85~3.85[V]であることは先述の通りです。Q7,8のエミッタ-エミッタ間電圧はベース-ベース間電圧(LH-LO間電圧)より2*Vbeだけ低くなるのでVbe=0.65[V]とすると1.55[V]~2.55[V]となります。写真はありませんが実測値もOKでした。

さてようやくここまで来ました。終段はドライバ段と同様にPPなのでいったんここまででAC解析を行います。DC解析は問題ないことがわかりましたので。


試しに1[kHz]、10[mVpp]の正弦波を入力しドライバ段の出力を観測してみます。
右chはいい感じ。入力2がアンプ入力、入力1がドライバ出力です。ゲインは20倍くらいですかね。

左chはなぜかアンプ入力がノイジーになります。つまりファンクションジェネレータの出力がノイジーになります・・・原因はまだわかりません。インピーダンス整合が必要かなぁ・・・?でもそれじゃぁアンプの意味がないんだけど・・・

FFTしてみると30[MHz]あたりのノイズがあるようです。

ノイズはケースに収めてからもう一度見てみることにします。

以上で大体の動作チェックが完了です。この時点で部品の再実装もほぼ終わったことになるので基板の洗浄をしておきました。めちゃくちゃ汚いです。なぜここまでヤニでべとべとなのか・・・
ベトベト・・・ コーティングなのか・・・?

コーティングなのかわかりませんが汚いのでIPAですべて落とします。
手前半分だけ掃除した状態です。この差・・・

一枚洗浄したウエスです。汚すぎぃ!

ついで?なのでリレー洗浄もやっておきます。(脈絡なさ過ぎ・・・)
左chだけ4[Ω]ありましたので洗浄します。

接点はそこまで汚れていません
この実験で硫化はIPAでは除去できないことがわかりましたので接点復活剤で磨きます。

IPAで接点復活剤を洗い流し、最後にうすーーーく接点復活剤を塗布しておきました。1/10まで抵抗値が下がりました。

長くなりましたが今回は以上です!
後は終段とプロテクタの動作確認を残すところまで来たのですがここで大問題が・・・
ヒートシンクを再塗装するために塗装剥離剤で剥離しているのですが超大変です。
しかもヒートシンクとシャシーはアルミなので秒で腐食し粉吹きます・・・
これ絶対塗装のらないやつでしょ・・・・・・・・・・・・・・・

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モノ作りが好きです。GUIアプリの作成からアナログ回路まで手当たり次第です。 アンプの修理を紹介するためにブログを始めました。 (Twitter:@TakaElc)

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