【自作】ミニM-22の自作 電源の設計【4回目】

2022/06/05

A級 アンプ 自作アンプ 電子工作

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月一の更新も厳しいと多方面で宣言したにもかかわらず連日の投稿・・・
いやはや、何でも口にするというのは大切ですね😅
口にすると体がそこに向かって勝手に進んでいくようです。

さてさて、ここまででアンプ部分の設計が完了しましたので今回は電源の設計です!
初の自作アンプということであまりこだわらずシンプルなシリーズレギュレータ(ベース接地)方式とします。

それでは行ってみよ~

電源の概要

 回路は次の4機能あります。
・アンプ部の初段
・ドライバ段
・終段
・プロテクタ

このうち、終段以外は共通の電源としレギュレータから供給することとします。終段は安定化する必要がそこまでない(SEPPはベース電位で出力が決定する)のでダイオード整流+大容量キャパシタの平滑のみとします。

電源の設計

電源を設計するうえで重要なのが負荷の大きさです。ざっと手計算しアンプ部が50[mA]、プロテクタ部は数[mA]の予定ですので100[mA]あれば足りそうです。電圧は12[V]としますので1.2[W]の電源になります。本格的な電源になればS/N比等々、多くの性能目標があると思いますが私にはそんな高度なスキルがありませんのでこれから勉強していきます・・・

ースペックー
・電流:100[mA]
・電圧:12[V]

今回設計した電源

かなりシンプルなベース接地+負帰還方式のシリーズレギュレータです。出力電圧の決定にかかわる部分を抜き出すとこれだけです。ベース接地($Q_1$)の動作原理がそもそもシンプルなので当然ですね^^;


出力電圧は$Q_1$のエミッタ電圧$V_e$です。$V_e$はベース電位$V_b-V_{be}$であり、$V_{be}$を固定値と考えると$V_b=12+V_{be}$となればいいわけです。$Q_3$は出力電圧を監視し一定値に制御する負帰還の制御器です。ここに負帰還を設ける場合と設けない場合はアンプで様々です。M-22は全く同じ構成ですが、Luxmanの5M21は負帰還をかけていません。(交流成分のみ帰還はしています)

帰還抵抗$R_{5,7}$の設計

話がそれましたが設計方法です。
出力電圧を$V_o$とし$Q_3$視点で設計していきます。$V_o$と$V_b$の関係について電圧方程式をたててみます。
$V_b=\frac{R_7}{R_5+R_7}V_o$
また$V_b$と$V_e$の関係は下記となります。
$V_b=V_e+V_{be}=V_{D1}+V_{be}$
代入すると
$\frac{R_7}{R_5+R_7}=\frac{V_{D1}+V_{be}}{V_o}$
となりますので抵抗の比率が求まりました。
 
ここからは私の独自の解釈で値を決定します。$Q_3$のベース電流を無視できる程度の電流を$R_{5,7}$に流しておきたいので、エミッター電流が定まれば良さそうです。
$Q_3$のエミッター電流は$Q_1$のベース電流を無視できる程度としたいので、出力電流($Q_1$のエミッター電流)の$10/h_{FE}$程度を流しておけばいいことになります。
ということで$R_{5,7}$には
$\frac{\frac{100I_{e1}}{h_{FE1}}}{h_{FE3}}=\frac{\frac{10}{h_{FE1}}}{h_{FE3}}$
を流せばいいことになります。今回は1[mA]としました。
長くなりましたがこれで$R_{5,7}$が定まるはずです。

$10^{-3}=\frac{V_o}{R_5+R_7}$

よって

$R_5+R_7=\frac{V_o}{10^{-3}}=12[kΩ]$

となります。
先述の通り、
$\frac{R_7}{R_5+R_7}=\frac{V_{D1}+V_{be}}{V_o}$
ですので、
$R_7=\frac{1}{V_o}(V_{D1}+V_{be})(R_5+R_7)$
となり$R_7$が定まり$R_5$も定まりました!

ベース電流供給抵抗$R_{1,3}$の決定

先述の通り、Q1にベース電流を供給してやらねばなりません。

ベース電流は出力電流の$1/h_{FE}$であり、Q3にその10倍程度のコレクタ電流を流すことにしました。さらに、基準電位を決定するツェナーにもツェナー電流を共有してやる必要があります。その役目が$R_{1,3}$にあります。もちろん$R_3$一本でも構いませんが1/2[W]の抵抗では容量的に厳しかったので分割しました。
$C_1$は交流的な帰還量を増やし負荷変動に素早く対応する役割があるそうです。値は適当です・・・

ツェナーはノイズが多い部品ですのでツェナーよりノイズの少ないLEDを用いたり基準電位ICを用いたり色々な策があるようです。また、ノイズ対策でツェナーにキャパシタをパラる方法があるようですがどうもツェナーのノイズレベルはそんなことで収まるレベルではないようです。実験している方がいらっしゃいますのでgoogleで調べてみてください。メーカーのアンプでもツェナーにキャパシタを抱かせている回路はよく見ますがどうなんでしょうねぇ・・・?

ともあれ以上で電源の設計が完了です!

実装

部品点数は10数個しかないためかなりコンパクトです。
ここでも余っていた東信のキャパシタを活用しました。

東信はMUSEと違いシンプルな見た目でおしゃれですね

10円でたたき売りされていたアルミ板をヒートシンクとして使用します

実はヒートシンクは不要の予定でした。プロテクタは別電源の予定だったのですが、成り行きでここから供給することになり想定以上の電流負荷のなってしまいましたのでその対策です。

いいかんじですね!

ラフに設計しすぎたかな?
まぁ良しとします。

今回は以上です!
次回はプロテクタの設計に入ります!
乞うご期待!

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モノ作りが好きです。GUIアプリの作成からアナログ回路まで手当たり次第です。 アンプの修理を紹介するためにブログを始めました。 (Twitter:@TakaElc)

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