【自作】ミニM-22の自作 バイアス回路とドライバ段 【2回目】

2022/06/03

A級 アンプ 自作アンプ 電子工作

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投稿ペースが上がらず申し訳ございません・・・
物はもうほとんどできてしまっているのですが投稿が間に合わず・・・

それではいってみよ~!

今回はドライバ段とバイアス回路の設計です。残りは初段、電源、プロテクタ、ケーシングです。
回路図から。

前回終段の設計を行いました。順序的にはバイアス回路の設計となります。
バイアス回路は終段のアイドリング電流289[mA]を設定するために必要です。また、終段Trと熱結合することで熱暴走を防ぐ役割もあります。

バイアス回路、ドライバ段、終段の抜粋

バイアス電流は$Q_8$と$Q_9$のベース間電圧で決まります。具体的には、ベース間電圧はエミッタ間電圧+2Vbeですので0.0578+2*0.65≒1.36[V]となります。この電圧を$Q_6,R_{13}~R_{15}$で生成します。バイアス電圧は$Q_6$のエミッタ-コレクタ間電圧$V_{ce}$ですので電圧方程式をたてていきます。分圧式より

$V_{be}=\frac{R_{15}}{R_{13}+R_{14}+R_{15}}V_{ce}$

ですので、$V_{ce}$について解くと

$V_{ce}=\frac{V_{be}}{R_{15}}(R_{13}+R_{14}+R_{15})$

となります。$V_{be}$は基本的には固定値(0.65[V])ですのであとは抵抗の比率だけでバイアス電圧を決定できます。これだけでは比率さえ満たせばどんな抵抗値でもよさそうです。しかし、$Q_6$にベース電流を供給してあげなければ$V_{be}$を固定値とはなりません。それだけでなく、終段にもベース電流を供給できる必要があります。

その視点からバイアス回路の抵抗を決定していきます。基本的には各ベース電流を無視できるほど電流を流すという考え方です。

まず終段のベース電流について、1[W]負荷時は$Q_8$及び$Q_9$から577[mA]を供給します。ということは$Q_8$及び$Q_9$のベース電流$I_b$はその電流の1/$h_{FE}$を流す必要があります。


バイアス回路にはこの$I_b$を無視できるくらいの電流、10倍程度の電流を流しておけばOKということになります。今回は少し少なめで40[mA]を流すことにしました。
バイアス回路の$Q_6$も同様の考え方をします。

抵抗流す電流を$10I_b=\frac{10Ic}{h_{FE}}$以上とすればOKです。精密に解くと連立不等式を解くことになりますがざっくりと、$I_c=40[mA]$で十分でしょう。あとは$V_{be}/R_{15}$=$10I_b$から$R_{15}=180[Ω]$となります。$R_{13}+R_{14}$は(バイアス電圧-$V_{be}$)/$10I_b$から$R_{13}+R_{14}=196[Ω]$となります。

200[Ω]のボリューム一つでも構いませんがボリューム調整が敏感になり微調整しにくくなります。今回の様に100のボリューム+150[Ω]とすれば微調整が容易になります。
(200[Ω]を超えてしまうのでバイアスを流しすぎになりますがA級動作範囲が広がるという意味でもありますのでこの辺は終段Tr等々のスペックも考慮して範囲を決めます)

使用するトランジスタはコレクタ損失や各電流がスペック内に収まれば何でも良いのですが、終段Trと熱結合するので熱結合しやすいパッケージのTrがいいと思います。

バイアス回路の設計は完了です。


次はドライバ段(エミッタ接地)の設計です。

といってもそんなに考えることはありません。初段を差動アンプとしますが電圧ゲインを高めるためにドライバ段としてエミッタ接地増幅を行います。エミッタ接地は定電流源負荷とすることで$Q_5$が実現できる最大の増幅率を実現できます。差動アンプなので全体の電圧ゲインをとにかく大きくしたいため、このような構成となります。

能動負荷のエミッタ接地のため$R_{12}$はいくらでも構いませんが、
$Q_5$のコレクタから電圧を取り出すので$R_{12}$の電圧降下を大きくしすぎると取り出せる電圧が小さくなってしまいます。

1[W]出力時の電圧$V_p=3.46[V]$で、その時の$Q_5$のコレクタ電圧は$V_p$+バイアス電圧≒4[V]程度となります。つまり$R_{12}$の電圧降下は電源電圧12[V]-4[V]=8[V]以内としなければなりません。また$Q_5$の動作を安定させるために$V_{ce}=1~2[V]$程度印加してやります。よって$R_{12}$は6[V]程度に抑える必要があります。定電流負荷は40[mA]としますので$R_{12}=150[Ω]$と定まります。
エミッタ接地は以上で設計完了です。

 最後は定電流負荷ですがここは超簡単にツェナーダイオードを用いることにします。


先ほども述べましたが終段のベース電流を無視したいのでQ7で40[mA]の定電流源を構成します。これが先ほど説明したエミッタ接地の能動負荷となりますのでエミッタ接地はとても大きな電圧増幅率となります。

設計はとても簡単で$V_{be}$を固定値として

$i=\frac{V_{D1}-V_{be}}{R_{16}}=40[mA]$

を解くと$R_{16}=150[Ω]$となります。R7はD1の仕様によって決まります。ツェナーごとに推奨電流値が決まっているのでその電流を供給できるようにしてやります。ここでもQ7のベース電流を無視できるくらいの電流を流せるツェナーを選んでやる必要があります。

今回は以上です!
初段まで行きたかったのですがボリューミーになってしまいましたのでまた次回とします!
乞うご期待!

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モノ作りが好きです。GUIアプリの作成からアナログ回路まで手当たり次第です。 アンプの修理を紹介するためにブログを始めました。 (Twitter:@TakaElc)

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