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はじめに
M-1000の初段メンテナンスです。
初段は以下の構成になっています。
・差動(2SK150)
+カスコードブートストラップ(2SC1775A)
+カレントミラー(2SA872A)
+定電流源(2SC2240)
+ダーリントンエミッタ接地?(2SA836*2)
上記にさらに定電流源が2つくっついています。(多分上記からできる限り電流を取り出さないため???OPアンプ+定電流源の構成でそのような説明があったので同じかなと・・・)
動作チェック
回路図の確認
動作原理の確認
回路が複雑でどのようにチェックを行うかで躓きました。
とりあえず直流解析です。私の少ない脳みそでも理解できるようまず差動部の必要部分だけ抜き出してみました。なお、抜き出すにあたりいくつかの前提条件を設定しております。
前提条件:
1.入力はGNDレベル
2.NFBは解放
3.DCオフセットはVR103によって0V
初段の入力部(差動部) |
この回路のDC的な設計値($V_o$)を導き出したいのですが頭で考えてもさっぱりです。
とりあえずこういうときはまず文字式を立てろ!と高校で教わったのでその通りにしてみます。
とりあえず求めたいのは$V_o$なので、$V_o$に関する電圧式を立てみます。
$V_o=V_{B2}-i_1R_{113}-V_{be1}$ $\tag{1}$
ふむふむ。となると$i_1$ががわかれば良さそうなのでKCLで電流式を立ててみます。
$i_3=2i_1+i_2$ $\tag{2}$
むむ、$i_{2,3}$が不明ですね!ということでそれぞれオームの法則で・・・
$i_3=\frac{V_z-V_{be2}}{R_{123}}$ $\tag{3}$
$i_2=\frac{V_{V2}-V_{gs}}{R_{115}+R_{117}}$ $\tag{4}$
これを(2)式に代入すると・・・
$i_1=\frac{1}{2}(\frac{V_z-V_{be2}}{R123}-\frac{V_{B2}-V_{gs}}{R_{115}+R_{117}})$ $\tag{5}$
となりました。よって式(5)を(1)に代入すればよいはずなので・・・
$V_o=V_{B2}-\frac{R_{123}}{2}(\frac{V_z-V_{be2}}{R123}-\frac{V_{B2}-V_{gs}}{R_{115}+R_{117}})-V_{be1}$ $\tag{6}$
できた!
さて、$V_{be1,2}$と$V_{gs}$をどのように扱いましょうか・・・
結論から先に書くと、すべて0にしました。つまり
$V_o \simeq V_{B2}-\frac{R_{123}}{2}(\frac{V_z}{R123}-\frac{V_{B2}}{R_{115}+R_{117}})$ $\tag{6}$
こんな感じです。すべて同じ原理で0とみなしました。
・$V_{be2}$は$V_z$に対して十分小さい($V_z=6.1$なのでまぁ10%くらい)
・$V_{gs}$は$V_{B2}$に対して十分小さい($V_{B2}=69$なので1%くらい)
・$V_{be1}$は$V_{B2}$に対して十分小さい($V_{B2}=69$なので1%くらい)
ということで式(6)で理論値を導出して実測値と比較し判断してみたいと思います。
動作チェック
理論値は約14.2[V]ですので7%の誤差がありますがまぁOKと判断します。
お次はAC解析をしてみます。と言ってもカレントミラーが挿入されておりゲインがかなり大きいのでNFB無しでは発散すると予想されます。
ゲインが高いためFBしないと正負に張り付きますので正常ですね。 |
出力が2値に張り付くのはゲインが十分高い証拠です。
よってこれ以上のオープンループ解析は経験不足でできないため終段を接続しNFBの状態で動作チェックしてみます。
こんな感じで終段を接続 (すでにネタバレ感ありますが結果やいかに・・・) |
おぉおおおおお!!!! 綺麗に増幅できてる!!!! |
ということで、初段部の動作チェックはひとまずOKです!!!
終段+NFB+初段も動作OKなことがわかってしまったのでいよいよ次回はいよいよ組み戻しです!!!
余談
DCオフセットも見ておこうと思ったのですが・・・
DCオフセット65[mV] |
調整ボリュームを振り切っても65[mV]もありました。裸基板のままなので次回、すべてを組み戻して調整できるか再度見てみます。
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