【Pioneer】SA-9800 依頼品1 部品総チェック【1回目】

2026/02/27

Pioneer SA-9800 プリメイン 電子工作

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はじめに
全国でインフルエンザが猛威を振るっていますね・・・
皆さんいかがお過ごしでしょうか。

さて、友人からの依頼です。お父様の形見のSA-9800で破裂音と共に出音しなくなったとのこと。
私はPioneerのアンプを弄るのが大好きなので楽しみで仕方がありません。なんたってM-22よりも古い50年前のアンプですので設計の違いに大変興味があります。

それではやっていきましょう~!

外観チェック

天板はサビサビですがフロントパネルはどうでしょうか?
黄ばみはなくとても綺麗ですね!
内部も埃がすくなく大変綺麗です!

素子チェック

終段

さて、トランジスタとツェナーをチェックしていきますが一番値が張る終段を先にチェックします。
終段Trにアクセスするためにパンチングメタルを引き抜きます
ご対面~!
終段は2SD388/2SB541です。1石2000円くらいかなぁ
手に入るだけマシですが。
全て取り外してチェックしたところ全て問題なしでした!
良かった~!

終段以外のトランジスタやツェナーも問題なしでした!
って、アンプの故障の可能性はこの辺りがダントツで高いため、問題無いとなると原因究明が厄介かも・・・

素子交換

トランジスタとツェナーは無事でしたので電解コンデンサもチェックしつつ全交換していきます。その他も気になった素子は予防的に交換していきます。

電源回り

メインのフルブリッジ

終段の電源の整流回路がこの基板ですがラッピングされていますね・・・
ほどくしかありません。
ほどきました。
珍しい見た目のダイオードですね。
横から見ると・・・?
外してみました。
ダイオード2つでハーフブリッジになっています。
調べてみたところまだ手に入るようですが・・・
ここは純正よりも安定性を優先し、
M-22でも使用しているファーストリカバリのER504に交換します
交換しました!
因みにこの基板含めすべての基板のパターン面は洗浄&防湿コーティングしています。

ブロックコンデンサ

終段の安定化はこのコンデンサが命のため交換します。
デフォルトと同じELNAで容量据え置きの耐圧アップでいきます。
がっつり半田付けされていますので取り除いていきます。
耐圧アップしているにもかかわらず直径で10[mm]小さいです。
搭載されていた物はぷくっと膨らんでいますね・・・
容量やESRは問題なさそうでした。
径の小さなコンデンサバンドを固定するためのビス穴をあけます。
(白マーカー)
バンドの固定は元々のビスを流用します。
元々がタッピングビスのためドリルで穴をあけるだけでねじ止めできます。
配線を再半田していくのですが、新しいコンデンサは足が短く強度も弱そうです。
そこで3Pのラグ板を活用し半田付けしやすくします。
ラグ板ピッタリですね!
再配線しました!
ラグ版いいですねぇ~!

レギュレータ

レギュレータ―基板のフルブリッジのダイオードも交換しておきます
こちらもファーストリカバリでHER207に交換します。
性能は十分ですし店舗の在庫処分で安かったので😁
デフォルトのSBI01-02よりもVfが若干増えるため
発熱対策でフォーミング処理し基板から浮かせました。
基準電位を生成しているツェナーは異常なしでしたが予防交換します。

コンデンサ

電解コンデンサとタンタルコンデンサを総入れ替えします!
ここでは交換のための分解作業を紹介します。
温度補償用バリスタダイオードをヒートシンクから取りはずします。
ヒートシンクとシャーシを固定しているビスを外すと基板とヒートシンクを固定しているビスが横から外せるようになります。
ヒートシンクが外れました。
さらに基板が載るプレートも外しました。
お次はプロテクタ基板です
このままではサービスコンセントやSP出力のフレームに接触するため
半田作業が難しいです。
プロテクタ基板の半田付けを楽にするためにここから非常に遠回りします・・・
フレームをフリーにすれば楽になりますが、そのためにはフロントフレームを外す必要があります。フロントフレームを外すにはトーンコントロール基板を外さないといけません・・・
フロントパネルを外しました
ここにフレームを固定しているビスがあるため外したいのですがトーンコントロール基板が邪魔でドライバーが入りません・・・
トンコントロール基板を外すためにこのシールドの鉄板を外します。
無事にトーンコントロール基板が外れました!
フロントフレームも外しました!
これでようやくサイドフレームがフリーになり、プロテクタ基板の半田作業ができます。
お次はこの辺りです。レギュレータ基板と入力基板があります。
Phonoのゲインボリュームを外すとサイドパネルとサイドフレームが外れます
レギュレータ基板のコンデンサはフィルムが縮んでいるものがありますねぇ・・・
お次はレギュレータ基板の下の入力基板を触りたいのですが・・・
Phonoゲインボリューム基板が邪魔で黒いフレームを取り外せません・・・
このアンプのラッピングワイヤーは簡単に切れてしまい再利用できないため解くわけにはいかずラッピングのピンを基板から抜くことで対応します。
抜けました!
これで入力基板にアクセスできます。
パターン面もばっちりアクセスできますね。
トーンコントロール関係でタンタルが使用されています。

コンデンサ交換ハイライト

一部のコンデンサが劣化しておりました。
これはレギュレータの入力側のコンデンサですが容量やESRが異常です。
反対側は問題なさそうです。
トーンコントロールのタンタルもショートモードで破損していました。
上記以外にも多数の電解コンデンサが破損しておりましたので、
全て東信のオーディオグレードに交換しておきました😀

リレー交換・・・?

お次はプロテクタリレーを交換します。
デフォルトと同じオムロンの純正(左)を購入したのですが・・・
ビス固定用の足がありません!!!!
うっかりしていました・・・
DINレール用のリレーソケットを取り付けることも考えましたが
このスペースにはとても収まりません・・・
幸い接点抵抗は問題なかったため洗浄で対応しました。
ダメになったときは家族旅行を兼ねて現地で交換します😂

スイッチ/アッテネータ/ボリューム類洗浄

お次は各スイッチ/アッテネータ/ボリュームの洗浄を行います。
グリスが硬化しているため軸が折れそうなほど力を込めないと回せません😱
接点も洗浄したいため取り外していきます。
ナットはフロントパネルの固定も兼ねています。
軸が長いためこちらのディープソケットを用います。
薄ナットですがこのソケットでしっかり噛んでくれました。
トーンコントロールのアッテネータです
こちらはフィルター用のスイッチ類だったはずです。
これは確か・・・
忘れてしまいました😂
こちらはPhonoゲインボリュームです。
バラして洗浄しました。
スイッチ類もばらして洗浄します。
綺麗になりました。
こちらはメインボリュームです。
分解不可能でした・・・
ガリも出ていないためそのままとします。
スピーカーのOFF/A/B/AB切替スイッチです
こちらもばらして洗浄しました。

調整

レギュレータ

レギュレータ基板は珍しく電圧設定用の半固定抵抗がありますので交換し調整してみます。元の半固定抵抗は接着剤でロックされていたため小まめに調整する意図はないと思われます。
現在設定されている抵抗値を記録します。
新しいボリュームはピン間隔が合わないためピンバイスで基板を加工します。
また抵抗値も合わないため固定抵抗を並列させ合わせます。
正負電圧の調整ボリュームはPhonoゲイン基板が邪魔するため一つは横向きにされていますが、
両者とも横向きに部品を統一します。
交換しました。
電源を入れて調整していきますが一発投入は恐ろしいので
スライダックで徐々に上げていきます。
正負ともにきっちり30[V]になっていましたので調整不要と判断しました。
(この判断が後ほどトラブルを引き起こします・・・)

バイアス

バイアス調整用の半固定抵抗も交換しています。
終段Trのベース間電圧が1[V]・・・?
2Vbeは欲しいので少し低い気がしますがこちらも左右で揃っているため調整不要と判断しました。それに調整ボリュームを回し切っても2Vbeにギリギリ届く程度のため何かおかしい気がしますので調整しないことにしました。

動作確認

電源もバイアスも異常はなさそうなため信号を入れてみます。
綺麗に動いていますね!
動作は問題なさそう!
と思ったのも束の間・・・
プロテクトが解除されません・・・

プロテクタ周り

DCオフセット検出のこのTrがVbeが低い割にIcが流れているようなので交換します。
2SC945を2SC1815に交換します。
チェッカーでは問題が無いんですけどねぇ・・・
M-22の初段にしてもこの年代の三菱のTrはどうも不調が多いです。

本当の原因

Trを交換して電圧は問題なさそうですがプロテクトは解除されず・・・
プロテクター回路を理論的に解いてみた電圧と乖離がなく回路そのものは正常に動作しています。つまり、正常に動作しているのにプロテクトが解除されない・・・
計算上どう考えてもプロテクトが解除され無い回路なので頭はパニックです。
もうそうなると回路計算の前提条件が間違っているとしか思えず、
それに該当するのは電源電圧(=レギュレータ設定電圧)しか考えられません。
しかしSA9800のサービスマニュアルを手に入れらずgoogle先生に色々聞いてみたところ・・・
SA-9500と同じ回路だということが判明しサービスマニュアルを手に入れました!

サービスマニュアルを確認したところレギュレータの設定電圧は30[V]ではなく48[V]でした!
ボリュームの値をコピーして30[V]で揃っていたのは一体何だったんだ・・・?
レギュレータ設定電圧を変更したためバイアスを調整しています。
すると無事に2Vbe以上のバイアスを与えることが可能となりました!
立派なヒートシンクが付いているため2Vbe+αで1.25[V]にしてみました!
発熱はふわっと暖かいくらいで余裕でした。

結局、レギュレータの設定電圧を正しくするだけでプロテクトは解除され出音されるようになりました!!!!!!

パイロットランプLED化

パイロットランプが切れていますのでLED化します。
ランプの電源はフルブリッジ基板のここから取り出されていました。
電圧を測定したところAC7.4[V]でした。
ダイオード/コンデンサ/抵抗をLEDに接続しました。
収縮チューブで保護して・・・
光が漏れないようスポンジで囲います
いい感じですね!

塗装

無事に修理完了しましたので錆だらけの天板を再塗装します。
しっかり錆びていますねぇ~!
まずは塗装を剥がします
激しく錆びています
#800で磨きました!
これ以上はお金貰わないと・・・
塗装に入ります。
脚立で即席塗装ブースをこしらえました!
脚立はいろいろ使えて便利ですね😂
針金で吊りしました
いつもは油性ですが今回は水性です。
艶消しブラック3層と艶消しクリア1層で綺麗に塗装できました!
回路をOHしても外観がサビサビだともったいないですからね。
新品の様に綺麗になりましたね!
今回交換した素子です。
電解コンデンサは全部で70個ちょいでした。

以上で作業完了とします!
友人のお父様がワンオーナーで半世紀使用したアンプです。今度は友人の下で1世紀を迎えてくれたら嬉しいです😋

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モノ作りが好きです。GUIアプリの作成からアナログ回路まで手当たり次第です。 アンプの修理を紹介するためにブログを始めました。 (Twitter:@TakaElc)

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