【YAMAHA】CA-2000 依頼品1 ピークメータアンバランスの原因究明と修理

2026/01/25

CA-2000 YAMAHA プリメイン レベルメーター 電子工作

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はじめに

前回、ブログの更新(=依頼品対応)が諸事情で1年半も空いてしまったことを報告しましたが
、こちらのアンプも依頼を受けてから1年以上手つかずでした😰
もちろん依頼者の方と合意のもとではありますが・・・
その分気合いれてみていきます!

さて、
ピークメータの振れ幅が左右で異なり、聴覚上のバランスも何となくおかしい気がする・・・
とのことですのでやっていきましょ~
と、そのまえに、
電子工作から離れていた1年半の間に準備は進めていました。
この小型充電ドリルはおもちゃかと思ったのですがかなりパワフルで
アンプの解体の効率が格段に良くなりました!!!
マキタの18Vドリルやインパクトも持っていますがアンプをバラすには大きすぎるんですよね。
これは2025年購入してよかったものランキングNo1です。

動作確認

適当なソースを入力しメータの振れと音を確認してみます。
ん~~~
確かに左右で振れ幅が全然違いますね。
音の違いはないようですが・・・
音楽を聴く限りメータのみ異常がありそうです。耳に自信が無いため正弦波を入力してみましたがやはりアンプ出力には問題なくメータのみ異常でした。メータアンプの調整で直るだろうと楽観的だったのですが・・・ダメでした😵

分解

メータアンプが故障の疑いがあるため故障部品を特定します。そのためにメーターアンプの回路が載る基板を確認してみたのですが・・・・
うわ!!!
黒い弁当箱が!!!
中身はタコさんウインナーかな?
サクッと部品を交換するつもりが何やらIG00136と書かれた黒い箱が・・・
嫌な予感がしますが一縷の望みを賭けて箱の裏面を確認してみます。
やはり樹脂封入のためほじくり返すしかなさそう・・・・😭😭
この手の修理は彫刻刀やケミカル等で部品を破壊しないよう樹脂を取り除き内部回路を確認する必要があります。どんな手段でも地道にやるしかないのは共通ですし不可逆なので最後までやりきるしかありません・・・・

メーターアンプ製作

Twitterの同士に予備のIG00136を譲っていただきました!
譲っていただいたものを破壊しリバースエンジニアリングする条件です。
到着を待っている間にIG00136についてネットで調べていたのですが・・・
イタリアの方が既にリバースエンジニアリングしている!?!?
しかもガーバーデータ付き!?!?

何とこちらの掲示板に基板自作に必要なパーツリストやガーバデータ、簡易的な回路図が投稿されていました!!!
いや~~世界は広いですねぇ(そのままでは動きませんでしたが)
すぐにJLCPCBで10枚ほど基板製作発注をかけました。(余談ですがこの1週間後くらいに日中関係の悪化により中国のほぼすべてのPCBメーカーが日本への納品を国から禁止されたようでギリギリ滑り込みセーフでした。あ、でも日本に素晴らしいPCBメーカーであるP版.comがありますのでこちらで発注すればOKですよ!)

組立

とどきやした!
1週間くらいで届いたかな。
レジストは白にしてみました。
シルクの作りこみが丁寧で裏面には素子パラメータまで印字されています。
有志のリバースエンジニアリングでここまでしてしまうとは・・・
パーツリストに従い実装しました。
抵抗値が揃わなかったりリード間隔が合わずかなりアクロバティックな実装になっています😂
見てください!
抵抗の違法建築物感!!!
鳥居かな?😂😂
幸いにも基板のホールピッチは2/10インチ、
つまりユニバーサル基板用のICピンヘッダを
2本間隔で抜けばピッタリです😁
純正のIG00136とサイズ比較

動作確認

キットを組み立てて動かすような緊張感のない勝った気満々でアンプに組み込み信号を入れてみました。

針が全然動かないんだが・・・?

(´・ω・`)こんな顏になりつつパーツリストの値と実装部品の値の再確認してみました。
新兵器、セリアの指し棒!
ではなく、ここの抵抗値を誤って10倍で選定していました。
な~~~んだ、部品の選定間違いか~~
ということで再度電源投入。


やっぱり動かないんだが・・・?


・・・😭😭😭

回路分析

ということでここからが本題?です。
皆さんこれが知りたかったのではと思いますが、私お得意の?地道な分析を始めていきます。
ひとまず正確な回路図が必要なため掲示板の実態配線図をある程度整理して回路図に書き直しました。
これが海外フォーラムで紹介されていた回路図です。
意外にシンプルですね。1chあたりオペアンプが2つあるため1つずつ分けて考えてみます。

前半

まず前段のこの部分
これは明らかに非反転増幅ですね。C5/R25でハイパス、C3もハイパスです。そのほか抵抗はゲインです。ではD3/D5の働きは?これが良く割らないため場合分けしてみます。
D3/D5の導通の有無でR19を無視するかしないかが変わります。ということはD3/D5の導通の有無=信号振幅の大小によって増幅率が変化するHPFとなりますね。非反転増幅の増幅率の公式に当てはめると、
<ダイオード導通時>
$G_v = 1+\frac{R21}{\frac{TH1R23}{TH1+R23}} ≒ 1.2$
<ダイオード非導通時>
$G_v = 1+\frac{180*10^3+R21}{\frac{TH1R23}{TH1+R23}} ≒ 628$
となります。
実際にはダイオードの導通状態は過渡的に変化するため小信号なほど増幅率を上げるような動きがダイオードで表現されています。多分ですがここは対数変換的なことを目的としているように見えます。TH1はサーミスタです。(記号が無かったので代用しています・・・)。
このサーミスタはダイオードの温度特性を保証する目的と思われます。
オペアンプの対数変換アンプは知っていますがこの形は見たことが無く自信はありませんが電圧式をたててみた感じと、サーミスタが入っているあたり、対数変換だと思います。

後半

後段部分です。
これより後ろはメーター駆動のためのアンプとフィルタなので特に説明はありません。
これまた面白い形ですね・・・
ただ、これも向きが異なるダイオードがあるため場合分けすればよさそうです。
となると
導通するダイオードを場合分けすると結局はシンプルな反転、非反転増幅にしかなりません。
この通り、正信号に対して非反転増幅、負信号に対して反転増幅をする回路であることが分かりました。つまり、これは絶対値回路や全波整流回路のような動きをするわけです。
ではそれぞれの増幅率を計算してみます。
<非反転増幅側>
$Gv = \frac{R17}{R17+R27}(1+\frac{100*10^3+R13}{R9+R11}) = 0.91*12=10.92$
<反転増幅側>
$Gv = -\frac{R15}{R15+R9}(\frac{100*10^3+R13}{R11}) = 0.7*22=15.4$
全てをまとめると、音声信号を対数変換し絶対値へ変換する回路であることが分かりました!!!
これは人類にとっては小さな一歩ですが私にとっては偉大な飛躍です(ナニソレ

改造

このままでは動作しなかったのですが、その状態というのが、
入力信号に反応はするが針がほとんど振れない
といった状況です。回路の解析結果を踏まえると単純に後段の増幅率を上げるだけでよさそうです。ついでに後段は信号の正負で増幅率が異なる点が気に入らないため、連立方程式をたてて正負どちらも増幅率が等しくなるように計算しました。
これが再調整した回路図です。
R13を120[kΩ]、R15を4.3[kΩ]としました。これにより、後段の非反転増幅が10.92倍から19.6倍へ、反転増幅が15.4倍から21.5倍になりました。要するにメーター駆動のために増幅率を2倍にしました。(因みに、より正確に正負共に増幅率を揃えるなら、R15は10.93[kΩ]、R13は300[kΩ]を選べば19.11[倍]で揃います)
また一部にゲルマニウムダイオードのOA95が指定されており他にも1SS133が指定されていましたが入手性が悪いです。Vfが小さいダイオードが必要そうなので色々探してみたところ1SS99がちょうどよさそうだったので若松さんで購入し統一することにしました。正直なところ、動作原理が分かってしまったので入手性の良いパーツで全く違う回路に作り変えてしまうこともできますがせっかくのプリント基板を活かすために1SS99でいきます。

動作確認

サービスマニュアルに従い、スピーカー出力が28.28[Vrms]@1[kHz]となるようボリューム等を調整します。
この状態で基板上のメーター微調整ボリュームでピークメータを0dBに合わせることが出来れば成功です。
結果やいかに!?
うごいたあああああああああああ
ということでメータアンプの修理完了です😭😭😭😭
この互換基板と部品が必要な方は在庫限りで販売いたしますのでTwitterで@TakaElcまでご連絡ください~

接点洗浄

さて、無事にメータが動作するようになりましたので各接点のクリーニングをしていきます!
中はこんな感じ!
プリメインらしくギュッと詰まっていますねぇ・・・
入力セレクターやフォノイコインピーダンス切替はここ
メインボリュームはここ
セレクタースイッチを取りはずすだけなのですが、
エクステンションを抜く必要があり、
さらにそのエクステンションはフロントパネルを外さないと抜けません・・・
フロントパネルを外すには各つまみを外すのですがボリュームのバランサーダイヤルがイモネジで留まっておりこの隙間からレンチを突っ込んで外します
さらにメーターがフロントパネルに接着されているため、
メータの配線を抜く必要があります。
外れました
ごちゃぁ...
これでセレクタースイッチの半田を除去できるかと思いきや・・・
後付けのXLR入力の配線(黒同軸2本)が半田付けされているため外してやります
外せました!
場所によっては200[Ω]近くあります😂
接点洗浄のためにばらします
冒頭の電動ドリルに加え、こちらの超音波洗浄機も購入しました!
これで洗浄してみます。
超音波洗浄の原理はキャビテーション効果というものらしいのですが正直なところ薄膜のものに対して悪影響があるのではないかと若干心配です😅
自己責任で!
洗浄によってほぼ0[Ω]に。
ボリュームの洗浄作業中にラッピングワイヤーの断線しかけている箇所を発見。
配線を交換し自作ラッパーでラッピングし直しました!
我ながら綺麗なラッピングで惚れ惚れします😻

まとめ

以上で基本的な修理とメンテナンスは完了です!
いや~~~
一時はどうなるかと思いましたがガーバーデータと回路図が手に入ったのでなんとかなりましたね!
このアンプはXLR入力回路の実装も依頼されているため次回はその内容について投稿しようと思います。

繰り返しになりますが今回のIG00136代替品が必要な方は販売いたしますので@TakaElcまでご連絡ください!(部品調達の関係上、複数台分入手するしかなくまぁまぁな投資になってしまっています。お助けください😂😂)


最後までご覧いただきありがとうございました~!
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モノ作りが好きです。GUIアプリの作成からアナログ回路まで手当たり次第です。 アンプの修理を紹介するためにブログを始めました。 (Twitter:@TakaElc)

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