【QUAD】405-2 OPアンプのソケット化に手こずる【1回目 完結】

2022/09/06

QUAD アンプ

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どうもtakaです。最近わが子が妻のお腹の中で元気に暴れています。もう愛おしくてたまりません😆

さて、今回はイギリスの息の長いパワーアンプ405-2の改造依頼です!
足跡はこちら
終段がNPNだけで構成されていたりと時代を感じる回路構成になっております。

今回は一瞬で完了予定だったのですが思いもよらぬところでつまずきました・・・

分解

コンパクトなアンプで分解に躓くとは思いもよりませんでした・・・

とてもコンパクトなパワーアンプですね!

RCAとDINのどちらかにソースを接続します。
内部で直結されています。

アンプを裏返し左右2か所のネジを外すだけで蓋が空きます

恥ずかしながら知らなかったのですがこのアンプはイギリス製ということで写真のネジが実は特殊ネジです。後ほど紹介しますが専用のドライバが必要で、普通のプラスドライバだと一発で舐めます。すでに一度分解されているようでほぼすべてのネジが舐めておりました・・・・

内部はこんな感じで非常にシンプルです。

基板モジュールを取り出すために本体の左右のパネルを取り外したいのですが・・・


ドライバーが入らない&特殊ネジ😭
写真の様に斜めに普通のドライバで回したのでしょうか、完全にナメておりほとんど締め付けできていません。幸か不幸かそのおかげで簡単にネジを外せましたが組み立てられないので後ほど紹介する工具で対応します。

両サイドのパネルを取り外すとこんな感じです

モジュールを取り外すにはこのネジを外す必要がありますがキャパシタが邪魔で工具が入りません。

ということでキャパシタをバンドごと外しますので左4つのネジを外します。

これで斜めですがドライバーが入ります。
先ほど同様、すでにゆるゆるのため斜め刺しでも簡単に緩みます。

両chのモジュールを取り出しました!

左右でまったく同一の基板です。
TO3のトランジスタは終段ですがどちらもNPNです。
コンプリが存在しなかったり、NPNよりも性能が悪い時代ということで、
NPNをPNPとして使用できるようインバーテッドダーリントン接続で使用しています。

ソケット化して完了のはずが・・・

片chの基板の一部が焦げています・・・

パターンも焼損したようで半田をもって修正した形跡があります。

半田を除去し状態を確認してみると、パターンが完全に浮いていました・・・

この抵抗が原因のようです。抵抗自体もひび割れています・・・

 回路図を追ってみると初段(OPアンプ)の電源を生成しているツェナー(抵抗の右)の電流を決定している抵抗でした。消費電力を計算してみます。降圧前が50[V]、降圧後(ツェナー電圧)が15[V]、ブリーダー抵抗が3.3[kΩ]ですので(50-15)^2/3.3=371[mW]となります。多分1/2[W]抵抗ですので定格の75%です。もう少し余裕が欲しいですね。
 OPアンプが交換されていることからOPアンプがショートモードで故障しこの電源回路も焼損したのではないかと予想されます。熱害だけであればパターンが剥げてしまうことは考えられないためです。

左右chの正負ともツェナーとブリーダー抵抗を交換します。
抵抗に近い電解キャパシタも交換します。
全て依頼者の方が選定しました!

タクマンの1[W]抵抗だそうです。キンピかな?

リードがとても太く1[mm]もありました!

サイズが全然違います😆

負側を交換しました。放熱性を少しでも上げるため浮かせて配置しています。

正側の素子とオペアンプを取り外しました。

交換後です!
キャパシタが近くなりすぎるため基板を加工しクリアランスを限界まで設けています。

パターン面の修復方法に悩みましたが結局単芯線で修正しました

リビルド

 分解時に説明したようにネジが特殊&場所が悪いため工具を揃えました。特殊ネジというよりもシェアが低いといったほうがいいかもしれません。よく見るプラスねじはフィリップスねじと呼ばれておりアメリカの規格です。イギリスではポジドライブねじという規格です。
 一見すると区別がつきませんがポジドライブはトルクがかかりやすい構造になっています。その構造がフィリップスねじのドライバではどう考えても舐めてしまう構造なのです。詳細は画像で調べてみるとわかりやすいです。とにかく、ポジドライブのドライバが必要です。Amazonなら何でも揃う!と思っていたのですが以外にラインナップが無く・・・

買い揃えた工具

左3本と右がポジドライブねじ用です。十字型の工具はヘキサナット用です。これは特殊工具ではありませんがバイク整備用だとゴツすぎるため今回購入しました。
右はオフセットラチェットと言いドライバの入らない箇所で力を発揮します。もちろんビットはポジドライブ用のビットを別途購入しました。

Amazonリンクです。
(PZ1とPZ2が必要でした)
(写真の2種類が必要です)
(フレキシブルドライバも試しましたが使い物にならなかったです)
(PZ2だけでいいです)


この日本製オフセットラチェットは見た目に反して力がしっかり加わり強力に締め付けできます!

トランジスタ類の取り外しでも活躍します。
ポジドライブらしく物凄い力で締め付けられているため工具をしっかり揃えないと絶対にナメて再起不能になります。終段トランジスタのネジは完全にナメておりナット側を緩めないとドライバでは緩められなかったです。舐めたネジはフィリップスねじに交換しておきました。

ヒートグリスも塗り直し整備完了!

リビルドしました!

仮組しドキドキのいざ電源投入です!
「パスン!!」
(;´・ω・)???????????

手違いでメインヒューズを飛ばしてしまいました・・・

いかにもヤバそうな写真ですがアノ危険なブツではありません!!!!!!
この粉末は消弧剤といい誘導負荷でも確実に切断するために封入されているらしいです。

これもなかなか入手性が悪く高価です。
また30[mm]はありますが20[mm]が限られています。
楽天にありました。(こちら

消弧剤がキラキラしていて綺麗ですね!

おまけ

OPアンプのソケット化に合わせてOPアンプも交換を依頼されていましたので交換します。
交換用としてこちらが送られてきました。
アナログデバイセズのJFET入力OPアンプです。

デフォルトはこちら。
先述の通り片chは交換されており生産国が異なります。
オリジナルはご覧の通りポルトガル製と思われます。

 交換前はM-22のような柔らかい音のアンプです。ストレートに言うと分解能が低いのっぺりした音です。交換後は明らかに分解能が高くなりハキハキした音になります。私は好みの音です!
 パワーアンプがかなり弄られていたのでコントロールアンプも確認してほしいとのことで最後にその確認を行い完了です。

コントロールアンプは貯金箱のような外観ですね!
とても民生用には見えず業務用の外観です。
おしゃれ!

上面には各種感度設定のDIPスイッチが配置されています。
これまた斬新ですね!

筐体は左右2本のネジを外せば開きます。

開きました。

紙が破れております・・・
見えないところではありますが分解されていますね。
以前改造依頼を出したそうです。

とても大きなタンタルが!!!!
オソロシィ・・・

OPアンプ類はソケット化されており下駄が2段もはかせてありました。
重ねるほど基板側のソケットの寿命は延びますが1段で十分な気がします・・・
相当な高頻度で差し替えない限り2段も必要ないかと・・・

フィルムは全てWIMAに交換されていました!

かなり改造された形跡がありますがコントロールアンプは綺麗でした!

長くなりましたが以上で完了です!
大変貴重なアンプに触れられいい経験になりました。
OPアンプでがらりと性格が変わるものですね・・・
私の耳でも分かるとは思いもよらず。
またプラスネジにも種類があることも勉強になり本当にいい経験が出来ました。
依頼者の方ありがとうございました!

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モノ作りが好きです。GUIアプリの作成からアナログ回路まで手当たり次第です。 アンプの修理を紹介するためにブログを始めました。 (Twitter:@TakaElc)

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